2014年03月22日

子宮の病気・乳腺の病気

 先日、お腹に15p程の大きな腫瘤を抱えた12歳のワンちゃんがやってきました。一目で乳腺腫瘍であることがわかりました。硬くて大きな塊が座るにも寝るにもお腹を圧迫して可哀想な状況です。急速に大きくなったそうで、触診では深部に波動感もあり、このままいけば自壊(破裂)する可能性が高かったため摘出手術をお勧めしました。さらに、あちこちのオッパイから灰色のどろっとした乳汁がでていたため、不妊手術(卵巣子宮摘出術)も同時に行うことになりました。

 
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 実はこの乳汁が出ている状態は偽妊娠の状態で、発情出血後1〜2か月の間に子宮から分泌される黄体ホルモン(女性ホルモン)が原因で体が妊娠状態にあると錯覚して、巣作りをしたり乳汁が出たりするのです。(発情・偽妊娠については後日詳しくUPします) 偽妊娠が長く続いている場合は女性ホルモンの異常分泌が疑われます。経験上、偽妊娠を繰り返している未不妊の雌犬で卵巣嚢腫などの卵巣異常から発情が持続し、その結果として子宮内膜を刺激することで子宮内膜炎を起こしてしまうケースは少なくないのですが、外側の大きな異常として症状があわられないため、飼い主さんが見過ごしてしまうことも多いようです。


 SN3O0197.JPGあきらかに症状が出るのは子宮内膜炎に引き続く子宮蓄膿症です。文字通り子宮の中に膿がたまる病気で、主な症状として、1、元気食欲がなくなる 2、水をたくさん飲む 3、陰部から膿状のおりもの・血液を排出する などがあります。 薬や注射では治療が難しいことが多く、放っておくとお腹の中で破裂して死に至ることがあるため、手術で卵巣子宮を取り除く治療を行います。

 ←これは摘出した子宮です。中に膿が充満していました。(そのままだと気持ち悪いので加工してあります。) ピンクの部分が子宮、本来は真ん中の鋏の太さですので、10倍以上に膨らんでいるのがわかります。


 前述の乳腺腫瘍もまた卵巣ホルモンに刺激されて発症するため、現在では子犬の頃に発情前または遅くても2回目の発情前までに不妊手術を行うことで9割近くの乳腺腫瘍が予防できることがわかっています。子供を産めば病気にならないと勘違いされている方もいますが、経産犬も子宮蓄膿症・乳腺腫瘍になります。


 DSC_3638.jpgさて、こういった病気に罹患するのは犬だけではありません。猫の症例は、件数が少ないですが重篤です。最近診た症例では「2か月前からお腹が張り、妊娠していると思っていたのに産まれない」という主訴でやってきた15歳の猫ちゃん。手術の結果、子宮蓄膿症でお腹の1/3が子宮で埋まっていました。破裂せず、しかも直前まで元気にご飯を食べていたというのですから奇跡的としかいいようがありません。 卵巣は片側だけが大きく腫れあがっていました。飼主さんのお話では、1年前から途切れることなく発情していたそうです。卵巣異常による持続発情だった可能性が高いと思います。猫の子宮蓄膿症はギリギリまで無症状のことが多いので、見過ごさないように注意が必要です。、



 
  猫の乳腺腫瘍は「半分が悪性」と言われており、小さいものでも油断できません。また、オッパイの近くにできていても乳腺腫瘍以外の悪性腫瘍の可能性もあります。体を触ってシコリがあれば早めに腫瘍かどうかの診断を受けてください。

  病気の予防の為にも、当院では若齢期の不妊手術をお勧めしています。また、不妊手術をしていない犬猫は、5歳を過ぎたら女性外来も含めた健康診断を受けることをお勧めします。人も犬猫も、早期発見・早期治療が大切ですね。  Dr.mana



  











 

 
posted by まなAH at 09:00| 診察室から