2014年01月19日

居候猫「そら」 ~猫はなぜ腎不全になるのか~

 毎日 診察室の奥でいつも大声で鳴いていた居候猫「そら」

 最近「いつもの声が聞こえないですね」「里親さんにもらわれたの?」と聞かれることが増えてきました。

 実は、年末に突然食欲がなくなり検査をしたところ慢性腎不全であることがわかりました。1週間静脈点滴をして少し食欲が出てきたので、今は診察時間内に院内を自由に歩き回ったり、私の自宅でこたつにもぐったりしながら療養しています。

 そらを預かってから、定期的に血液検査や尿検査をしていましたが異常値が出たことはなく、他の子のごはんも奪って食べるような元気な子でしたので、この結果には少々驚きました。しかし、推定13歳。実際の年齢はもっと上かもしれないので、年齢的には腎不全を発症してもなんら不思議ではありません。

 猫は腎不全になります。よく理由を聞かれますが、@肉食でタンパク質を主栄養として生きていることA腎臓のネフロンが人や犬に比べてとても少なく、1ダメージが致命傷になることが大きな理由だと言われています。人も動物も、タンパク質から栄養を取り、要らない部分を尿や便の中に排泄しています。腎臓のネフロンはまさにその要らない部分を尿にして捨てる係です。もともと一度に全部のネフロンが働いているわけではないので、先に働いていたものが弱ったら次、右がダメなら左で仕事をするのですが、猫の腎臓にはその交代要員がもともと少ないのです。一度ダメージを受けたネフロンは再生できないので、猫は人や犬よりも、腎不全になりやすいのです。

 ひと昔前、肉と魚だけで生きていた時代と比べて平均寿命が5歳以上伸びたのは、キャットフードが主食になったからに他なりません。猫のシニア食といわれるほとんどのフードは始めからタンパク質を減らしてあり、腎臓療法食は低タンパク・低リン・低塩分にプラスして他の栄養素を増加してあります。腎不全の初期にこれらの食事を選択することで、腎不全になる時期を遅くしてあげることができます。

 それでも猫は腎不全になります。腎不全は全体の7割が機能しなくなった状態で、機能しなくなった腎臓はだんだん萎縮していくので、腎不全を治すことはできません。治療の目的は、腎臓の負担を少しでも減らし、尿毒症や心不全にならないようにしてあげることです。治療の内容は補液・食餌・毒素吸着剤・降圧剤が中心となります。腎臓が疲れて「もう仕事ができない」と悲鳴をあげている状況ですから、仕事を減らしてあげることが重要です。

 
 
 今、そらが行っている治療は 皮下補液と吸着剤のみです。キャットフードはほとんど食べなくなったので、毎日日替わりで食べられるものを与えています。病院にいるのだから、もっと積極的な治療があるのではないかと思われる方がいるかもしれません。正直、血液検査結果をよくすることだけが目標なら、他にも選択肢があります。どの治療法を選択するかは、その時の状況にもよりますが、できるだけストレスがかからない方法をと考えています。

 今日もキャットフードは口にしませんでしたが、鍋用のタラを美味しそうに食べていました。量は少ないですが、おいしく食べられるものがあるうちは、まだまだがんばれます。

 今後、そらの病状報告をかねて、同じような猫のケアをしている飼主さんの為に、「猫の腎不全」について時折UPしていきたいと思っています。 by mana

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posted by まなAH at 17:35| 猫のいろいろ